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静岡英和学院大学教員の平均顔はこれだ!(2014年6月12日更新)

「平均顔」という言葉を知っていますか?
知らなかったという人でも、大体の意味は想像できると思います。

「平均的な高校生」と言えば、どこにでもいる普通の高校生のことですね。とすれば、「平均顔」は、どこにでもいる普通の顔のこと、アイドルやファッションモデルのような美男美女ではない、ごく平凡な顔のことなのでしょうか?
試しにツイッターで「平均顔」をキーワードにして検索してみると、
「私なんて美人じゃないよ。ただの平均顔だよ」
といった書き込みがたくさん見つかります。これは「私なんて十人並みの普通の容姿だよ」と謙遜しているってことですよね。

しかし「テストの平均点」とか「高校生の平均体重」などというときの「平均」は、「普通の」という意味とはちょっと違います。テストの平均点というのは、受験者全員の点を足し合わせて、それを受験者数で割ったもののことですね。数学的に定義された平均というわけです。

では、平均顔が「数学的な平均の顔」という意味だと考えてみることにしましょう。それは一体どんな顔なのでしょうか?
顔そのものを、いきなり足して割って平均値に換算することはできそうにありませんが、顔が持つ様々な特徴だったらなんとかなりそうです。例えば、大勢の人を集めて両目の間隔を測れば、その平均値を計算できます。平均的な両目の間隔は、だいたい6~7cmくらいでしょうか。同じ様に、目の大きさ、顔の輪郭の形、肌の色、唇の厚みなどは、どれも数値的なデータとして測定できますから、平均値を求めることができます。
顔が持っているあらゆる特徴が、平均値になっている顔。これは正に、「数学的な平均の顔」という意味で、平均顔と呼べそうです。

実は「平均顔」という心理学用語があるのですが、心理学用語としての平均顔は、顔の特徴が数学的な平均値になっている顔を意味しています。
心理学者は、顔の認識のメカニズムを研究するときの重要な手がかりとして、平均顔が利用できると考えています。「そんな顔の人なんているの?」と思うかもしれませんが、研究のために平均顔が必要なときには、平均顔の人を探してきて写真を撮らせてもらうかわりに、大勢の人の顔写真をコンピュータで混ぜ合わせて合成します。以前は特別なソフトウェアが必要だったのですが、最近はパソコンやスマートフォンのアプリでも簡単に平均顔を作ることが出来るようになりました。

「普通の顔」という意味の平均顔と、「数学的な平均の顔」という意味の平均顔。
この二つの違いは上で説明した通りなのですが、結局のところ、両者は同じことを意味しているのではないでしょうか?
だって、平均的な特徴を持った顔というのは、やはり普通の顔なのであって、それは特別に美男美女とは言えない平凡な顔のように思えます。
しかし、平均顔についての実験心理学的研究から、
「平均顔は平均以上の美男美女になる」
ということがわかっています。
特別に美男美女というわけではない、平凡な顔の人の写真をコンピュータで混ぜ合わせて、平均顔を作ります。男女は別にしますので、男性の平均顔と女性の平均顔を作ることになりますが、できあがった平均顔は、素材として使った写真よりも、魅力度(美人度・イケメン度)の高い美男美女になるのです。だから、「平均顔は平均以上の美男美女になる」というわけです。
平均は平均以上…なんだか矛盾することを言っているみたいで、奇妙な話ですね。
しかし、二つの「平均」の違いをよく考えれば、矛盾しているわけでもないし、奇妙な話でもないと気付くはずです。
心理学用語としての平均顔が問題としているのは、両目の間隔や、肌の色のような、物理的な世界での平均値です。
これに対して、特に美男美女というわけでもない普通の顔、というときに問題となっているのは、心の世界で生じた魅力度という価値です。魅力度という心理的な価値がだいたい平均値になっているのが、普通の顔、平凡な顔ですね。
「平均顔は平均以上の美男美女になる」を、もっと丁寧に言い換えてみましょうか。
「物理的な特徴が平均値になっている顔を見た人の心の中に生じる魅力度という価値は、平均値以上となる」
う~む…丁寧に言い換えましたが、却って分かりづらくなってしまったかもしれません。

心理学は心の世界を扱う学問です。
しかし、心は物理的な世界(環境)に人間が適応していくための仕組みでもあります。だから心理学では、心の世界だけでなく、物理的な世界も含めて研究対象とします。物理世界に対して心はどのように反応するのか?このことを扱う研究分野を特に、心理物理学(精神物理学)と呼びます。
心理物理学的な考え方というのは、本学の心理コースのカリキュラムの中核を成す、科学的な心理学の基本中の基本です。おそらく本学の学生が、「平均顔は平均以上の美男美女になる」という話を聞いても、矛盾しているとも思わないし、奇妙な話だとも感じないでしょう(…そうであってほしい!)。

ところで、ツイッターで「私は平均顔だよ」とつぶやいている人達を見かける度に私は思うのです。
もしかするとそういう人達は、平均顔の心理学的研究の事を知っていて、暗に「私は美人だよ」と言おうとしているのではないでしょうか?

文:静岡英和学院大学学際的こころの研究センター研究員 瀬山淳一郎
E-mail jseyama(アットマーク)mac.com

 

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