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書籍紹介「健康行動論」(2015年6月29日更新)

 少しばかり古い話で恐縮ですが,拙著の紹介をさせていただきたいと思います.これ以上時間がたつと本当に書けなくなりますのでね.紹介するのは2012年に出版された「健康行動論」という本です.この記事を書いている人は「学際的こころの研究センター」に属しておりますが,心理学の教員ではありません.保健体育の教員です.

 ところで,皆さんは保健体育の授業面白いですか.私自身が中学や高校時代のことを思い起こしてみると,あまり面白くなかったのですね.そこで,自分が読んで面白い教科書を作ってみようと書いたのがこの本です.自分の講義をもとにして10章の話にまとめてみました.健康について考えている本なのですが,書いてあることは「健康に過ごすためにどんなふうに時間を過ごしますか?」という内容です.すごく乱暴に表現してしまいましたが,内容は多岐にわたっています.

 例えば,健康のことを授業でも考えます.実は,健康のことを考えるのは「幸せ」などに関連している部分があります.例えば,健康な状況とは「自己実現に近づこうとするプロセスである」という健康の幸福主義的モデルの考えは,マズローの欲求階層説をもとにしているのです.健康と幸せの捉え方は非常に似ているところがあります.

 話は変わりますが,選択の科学という本を書いた有名な心理学者,シーナ・アイエンガー博士のジャムの実験はよく知られています.24種類のジャムの試食では多くの人が関心を示すが,購買にはつながらなかった.むしろ6種類の方がよく売れたというものです.この選択するという行為,医療にも関わってきます.

 拙著の中では,高度医療に関わる問題を扱っている部分があります.末期患者に,人工呼吸器をつけるか否か,というようなことです.現在,日本において積極的安楽死(人為的に手を下して死期を早める行為)は違法行為です.そのため,人工呼吸器を一度装着すると外すことはできません.そのような選択を患者の家族は,しなければならないのです.
 
 ジャムならば,大きな後悔はしませんが,医療行為の場合は選択の結果に大きな後悔をすることも考えられます.

 現在は生命に関して,多くの選択肢が用意されているため,人々を苦悩に追いやっている部分もあるのです.高度医療の恩恵に授かっている我々にはその選択を迫られることが比較的身近にあるのです.

 私たちが現代社会に健やかに生きるということは,実は多くの問題と隣り合わせなのです.

 その他,感染症の蔓延など,人間が病気と闘うだけではなく,病気によって社会が分断されたということは多くあります.病気は社会心理学的な観点なども関わってきます.

 いまの時代に応じた新しい保健体育の授業を目指して書いた本です.一度書店にて,立ち読みしてください.

(文責:鍋谷照)

 

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