HOME > 活動記録一覧 > 日本発育発達学会シンポジウム「今を生きるアジア圏の子どもたちの身体発達」(2015年7月26日更新)

一覧へ活動記録 

日本発育発達学会シンポジウム「今を生きるアジア圏の子どもたちの身体発達」(2015年7月26日更新)

2015年3月,日本大学文理学部にて日本発育発達学会が開催されました.「今を生きるアジア圏の子どもたちの身体発達」というテーマで学会シンポジウムが行われました.僕もシンポジストとして「カンボジアの子どもにおける発育発達の地域差」と題して発表する機会を頂きました.その時のお話を書かせていただきます.時間が経っていて申し訳ありません.

このシンポジウムでは,カンボジアの子どもの体格と体力の居住地域による違いを報告しました.カンボジアの地区,8地域をピックアップして,体格・体力測定行い,その結果を比較したところ,男児,女児共に首都プノンペンの子どもの身長,体重が恵まれている傾向が示されました.しかしながら,この首都プノンペンの子どもはその他の地区の子どもに比べて,立ち幅跳びの成績は芳しくなかったのです.もしかすると,首都プノンペンの子どもは,身体を上手く使えていない可能性があるのではないか?というようなことを僕が報告し,これらのことについて学会のメンバーの方と一緒に考えてきました.

この問題って,日本の子どもと同じ問題をはらんでいるのですね.日本の子どもは,戦後の荒廃した状況から時間をかけて経済発展を体験した国の子どもです.現在,日本の子どもは「体格は大きくなったものの体力がない」などと言われています.日本の子どもの外遊びの時間が減り,みんなで遊ばなくなったといわれます.最近の子どもは忙しくて,遊びに行くのに事前にアポを取ってないと出かけられない.こんなジョークもよく耳にします.

皆さんが,カンボジアと聞くとどんなイメージをお持ちでしょうか?支援を必要としている貧しい国?食糧支援が必要な国?確かにそんな部分は今も残っています.

でも,現状としては,多くの発展途上国では,開発援助を受け生活基盤の充実を図ろうとしている一方で,少しずつ健康問題が生じるようになってきています.特に発展途上国において,急激な生活環境の変化を体験していると思われる都市部では,肥満の増加が進んでいることが報告されています.

裕福な人が多い都市部では,モータリゼーションが急激に進んでいます.そして,モバイルフォンが普及しています.最近まで,科学技術の恩恵に授かることのなかった人々が,その便利さを簡単に手にすることが出来るようになったのです.この急激な変化は日本とは比較にならないほど急激なのです.この急激な変化は,子どもの発育に影響を及ぼす可能性が大きいと思われます.

そのため,今回カンボジアの首都と周辺地域の子どもの違いを確認することは,健康の推進に有効な情報となる事が期待できます.
発展途上国において,食糧支援などが必要な地域はまだまだあります.その一方で,急激に環境が変化している人々に対して,健康教育を浸透させていくという支援も必要なのです.

生活習慣に関わる病気や体力低下の問題を扱う場合,日常行動の改善が求められる場合が多いことは事実でしょう.人びとの日々の行動をより健康なものにしていくためには,心理学のアプローチが必要になってきます.公衆衛生学的視点に心理学は欠かせないものになっていると思います.

皆さんも発展途上国の将来について考えてみませんか?それは日本の将来について考えることと同じかもしれません.
(文責:鍋谷照)

 

All contents Copyright (c)2013 SHIZUOKA EIWA GAKUIN UNIVERSITY All rights reserved.