舞台芸術公園の舞台芸術のテーマパークとしての可能性

基本情報

事業名 舞台芸術公園の舞台芸術のテーマパークとしての可能性
担当者 毛利 康秀
所属 人間社会学部人間社会学科
実施時期 2020年10月1日~2021年1月31日
分野 地域社会学、観光社会学
キーワード 地域活性化、産業振興、社会調査

事業の紹介

概要
ふじのくに地域・大学コンソーシアムの2020年度ゼミ学生等地域貢献推進事業の指定課題(静岡県舞台芸術センター)「舞台芸術公園の舞台芸術のテーマパークとしての可能性」へ応募・採択されたことを受けて、研究課題の検討ならびに現地へのフィールドワークと調査活動を行った。
目的

公益財団法人静岡県舞台芸術センター(SPAC)は、国内外の芸術家や劇団を招聘しての公演等を行いながら若手芸術家の育成も行っている公益法人である。SPACが活動拠点としている舞台芸術公園は、静岡市駿河区日本平の中腹に位置し、舞台創造のための機能を備えた施設であると同時に、自然公園として季節の自然を楽しめる場所にもなっている。静岡県は「演劇の都」構想を掲げ、舞台芸術を核とした地域活性化や交流人口の増加を推進していることや、近年、日本平山頂の再開発などで日本平全域の交通量が増え、注目度も高まりつつあることから、あらためて舞台芸術公園が舞台芸術に関するテーマパーク的な存在としてどのような発展可能性が考えられるかについて検討することとした。

活動内容

まずSPACの活動状況や情報発信についてドキュメント分析の手法で調べ、他県における類似の事例についての調査を行う。そして現地へのフィールドワークを実施し、舞台芸術公園の状況を把握する。舞台公演も実際に鑑賞して、舞台芸術に対する理解を深める。公演を見に来た観客へのアンケートおよび学生へのアンケートを実施し、舞台芸術に関する認知度やニーズについて確かめ、比較・検討を行う。

成果

ドキュメント分析の結果、SPACと対比しうる活動が行われている他の道府県は少なく、静岡において地域の独自性を打ち出すことにより舞台芸術の振興を推進していく余地は大きいと考えられる。舞台芸術といえば東京の存在感は大きなものがあるが、SPACのスタッフへの聞き取り調査では、海外の舞台芸術の関係者との交流も積極的に行うなど、東京に追随する訳ではない方向性を目指していることを伺うことが出来た。東京とは異なる独自の振興路線を追求していくことは、静岡ならではの舞台芸術の振興を進めていく上でも重要なことではないかと考える。
舞台芸術公園は敷地面積が広く、豊かな自然に囲まれ、富士山の眺望も良いことから、舞台芸術のテーマパークとして発展していく潜在的な可能性は充分に秘めていると考えられる。しかし、アクセス性は決して良いとは言えず、バスの本数が少ないこと、駐車場の収容台数が多くないことは、利用者の拡大をはかる上でのネックになることは明らかである。空き地を出来るだけ確保して臨時駐車場として使えるようにするといった対策は必要ではないかという意見が多く出た。
観客アンケートを行ったところ、参加者の満足度は概ね高く、静岡の文化水準の向上に貢献していることが分かった。学内アンケートでは、SPACはもとより舞台芸術公園の場所も分からない学生が多数を占め、その活動内容に見合った知名度が得られていない実態も明らかになった。興味・関心の傾向から分析を行ったところ、日本人学生は大道芸、映画鑑賞、音楽鑑賞を好む層に、留学生は美術館巡りやカメラ・写真を好む層にアピールすることが舞台芸術の受容拡大に効果的ではないか、とする仮説が浮上した。このほか、児童・生徒・学生が校外学習の機会で訪れる機会を増やして、子どもの頃から親しめるようにすること、演劇やダンスサークルの稽古場や合宿場としての利用拡大をはかる。そのために必要な制度を整えること、予算の許す限り、柵や手すりを設置するなどのバリアフリー対策を施し、駐車場の拡大も目指すこと、といった提言を取りまとめた。

備考

成果報告については、2021年2月13日に開催された「第6回ふじのくに地域・大学フォーラム」にて発表した。

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(窓口)静岡英和学院大学 企画部 地域連携担当

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