男女共同参画社会基本法のもとでの地域活動と性別役割分業観の変容に関する研究

基本情報

事業名 男女共同参画社会基本法のもとでの地域活動と性別役割分業観の変容に関する研究
担当者 志田 倫子
所属 コミュニティ福祉学科
実施時期 2009年4月1日~2011年3月31日
分野 その他(男女共同参画)
キーワード 地域社会の形成、成人教育、掛川市生涯学習まちづくり、「とはなにか学舎」と掛川36景、男女共同参画社会

事業の紹介

概要

男女共同参画社会の実現を目指す女性団体と3〜4年ゼミ生との交流。ジェンダーに関する静岡の現状を知り、家庭から地域社会へと一歩を踏み出して社会に参画する姿に実際に触れる(2010年度まで)。

目的

1999年に男女共同参画社会基本法が成立したが、そのもとで性別役割分業とは違った、「男女共同参画」にもとづくジェンダーにとらわれない人間関係が求められている。特に、性別役割分業観が規範として内面化している中高年世代が、いかにして既存の価値観を変容できるかは課題の1つであった。
身についた価値観の変容のために、地域活動をすることで新たな知識や行動スタイルを身につける方法が考えられる。私は、こうした目的で活動している地域活動を調査研究し、その活動に参加することで参加主体の意識がいかに変わるのかを研究目的としてきた。そして、そのことで家族関係の変容が見られるか等を研究した。

活動内容

特に男性側の意識が遅れていることが指摘されており、1990年代に男性の「生活者」を意識した地域活動団体JAOクラブ(読み方=ジャオクラブ、神奈川県で活動、会員男性100名程度)に対する実態調査を行い、男性側の意識変容過程に目を向けた。そして、この地域活動に参加することで、夫婦関係がいかに変容するかを主にアンケート調査の結果から把握し、分析した。
2009年~2011年度は、本学「地域協働推進機構」の助成金を得て、静岡県内で男女共同参画の啓蒙活動を行う女性団体SWOSの会(読み方=ソースノカイ、以前は海外研修女性の会として活動、会員女性100名以上)の役員10名弱と学生(私の3年ゼミ生、10名程度)との交流を行った。交流を通して、男女共同参画に対する学生の理解を深めるのが目的である。
交流会は数回にわたり、「家族・ジェンダー」に関する学術書を一緒に読み内容を検討したり、「企業内保育」を行っている県内企業を見学に行ったりといった内容が盛り込まれた。また、「結婚、子育て、男女共同参画」のアンケート調査にかかわった(成果を参照のこと)。

成果

まず、SWOSの会との交流そのものにより、性別役割分業が規範とされていた世代の女性が家のことをするだけでなく、いかに社会とのかかわりをもつようになったか、等を知ることができた。そこで、社会とのつながりを模索する女性の姿を垣間見ることができた。
SWOSの会が行った県内大学生1000人への「結婚、子育て、男女共同参画」のアンケートにあたって、意見交換会を本学新校舎で、私のゼミ生と行った。さらに、その結果の報告会も本学で行われ、アンケート結果から多くの学生にM字型就労の規範が根付いていること等がわかった。
その様子と、調査結果と考察の一部は、静岡新聞(2010年2月8日夕刊)に掲載された。本事業は、男女共同参画社会やジェンダーに関する基本的な知識を身につけたり、確認できたと同時に、アンケート作成から結果報告、そして公表までのプロセスを体験できる有意義なものであった。
学生の社会に対する意識はかなり向上したと感じられる。

 

今後の予定

2009年度に「地域協働推進機構」の助成金を受けて行った、SWOSの会と学生との交流を、機会があったら少しアレンジした形で再度行いたいと思います。

メッセージ

私は、地域社会を、社会学的に研究・分析しています。
現在は、「掛川市生涯学習まちづくり運動の展開」について主に研究をしています。掛川市は、1970年代から幾度かの展開を経て、現在は住民が主体的にNPO活動等を行っています。遊び心あふれた掛川のまちづくりから、コミュニティ形成の楽しさを確認できます。
他にも「男女共同参画社会と地域活動」の研究もしています。

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(窓口)静岡英和学院大学 企画部 地域連携担当

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