掛川市生涯学習まちづくり運動の展開過程と地域社会の形成に関する研究

基本情報

事業名 掛川市生涯学習まちづくり運動の展開過程と地域社会の形成に関する研究
担当者 志田 倫子
所属 コミュニティ福祉学科
実施時期 2013年4月1日~2015年2月28日
分野 観光、地域づくり
キーワード 地域社会の形成、成人教育、掛川市生涯学習まちづくり、「とはなにか学舎」と掛川36景、男女共同参画社会

事業の紹介

概要

地方創生の時代であるが、掛川市は全てを近代化してしまわずに土着性を残している。3年ゼミでは『生涯学習のまち今と昔』というテーマでフィールドワークを行い、市役所や学士へのインタビュー調査等を行っている。

目的

掛川市の生涯学習まちづくり運動の展開過程を地域社会の形成の観点から分析した。掛川市は、1979年に全国に先駆けて「生涯学習都市宣言」を行い、「都市づくりは人づくり、人づくりは生涯学習」を方針とし、その展開に向けて、掛川市独自の生涯学習が市行政(当時は榛村純一市長)主導のもとで積極的に推進されていった。この運動の展開と市民の活動は、全国的にも注目され、ひとつの時代をつくったといえよう。しかしその展開過程に関する研究はあまりみられていなかった。

活動内容

Ⅰ期(1980~1989)、Ⅱ期(1990~)、そして現代の活動の展開過程を分析している。
Ⅰ期は、市長主導で行われた諸施策について検討している。ハードな側面の充実や多彩なアイディアがみられるが、市長と市民との対話(市民対話集会3200回等)や、地域の歴史・文化と自然を守ることで地域の魅力を発掘し、さらに集会施設、組織づくりを行う地域社会の形成が行われている。
私が特に特徴的な取り組みとして注目したのは、第Ⅱ期に開設された、成人向けの2年課程の単位制学習講座「とはなにか学舎」の講座のシステムである。これは、第Ⅰ期に拡大した内容を、体系的にまとめたもので、地域体験学習実習としての「掛川36景」や、専門科目、グループワークといった内容から、主体性の確立、わがまち・わが地域のリーダーの育成、都市・まちづくりの方法と実践が身につくカリキュラムである。
この講座を受けた「学士」は、現在では、有志で「学士会」を作り、サークル活動・NPO
活動を行っている。私は、その中で、竹の丸で行われている、掛川で採れる葛をつかって葛布を作るNPO活動「達人に学び伝える会」に注目している。

 

成果

1970年代からの掛川市生涯学習運動の展開を分析した上で、いかに現代のNPO活動が生み出されたのか、その過程を捉えたところに成果がある。今年度は、日本社会教育学会で、「掛川市生涯学習の展開と地域社会の形成」という題目で、主に第Ⅱ期の「講座システム」の分析を中心に研究成果を発表した。この研究では、掛川市の遊び心のあふれた活動の中から、コミュニティ形成の楽しさを確認できた。また、J.ハーバーマスの「システムによる生活世界の植民地化」という理論的な枠組みに位置づけて、掛川の画一的でない取り組みを研究する試みもできた。
今後は、上記の現代のNPO活動の研究と、掛川市は人口密度が低く、都市度が低いことから行政主導のまちづくりが盛り上がったのではないかとの仮説のもとで、都市度とまちづくりのタイプの関連性等を調査研究する。

今後の予定

1.専門演習では、まちづくりにかかわった学士(2013年度は3人)に、掛川36景のうちの幾つかなど、緑あふれる歴史のまち掛川を1日案内してもらい、名所竹の丸でインタビュー調査を行うというフィールドワークを行っています。
⇒これを継続する予定です

2.現在行われているNPO活動「達人に学び伝える会」に対して、1概要を実態把握する・2地域社会の形成、ネットワーク形成・3参加主体の意識形成の観点から社会調査を行います。

 

メッセージ

私は、地域社会を、社会学的に研究・分析しています。
現在は、「掛川市生涯学習まちづくり運動の展開」について主に研究をしています。掛川市は、1970年代から幾度かの展開を経て、現在は住民が主体的にNPO活動等を行っています。遊び心あふれた掛川のまちづくりから、コミュニティ形成の楽しさを確認できます。
他にも「男女共同参画社会と地域活動」の研究もしています。

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(窓口)静岡英和学院大学 企画部 地域連携担当

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